大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和26年(行)10号 判決

原告 加藤順康

被告 国

一、主  文

原告の請求は何れもこれを棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告は(一)被告は厚生大臣をして原告が昭和二十五年八月一日以来昭和二十三年六月十一日まで数回厚生省或は内閣技術院へ申請した厚生省登録東薬第三一〇号レベン剤並びにブリル剤の効果作用の実験審査請求を受理し速かにその審査を為さしむべし。(二)被告は原告より教授指導を受けた加藤宝が昭和二十四年九月十三日篠崎実に対しレベン剤とブリル剤の使用方法を教授し治療指導に対する報酬として二千五百円を受くる旨約した契約は有効なることを確認する。(三)被告は前記レベン剤とブリル剤によるNBK療法は医師法、薬事法に抵触しないことを確認する。(四)訴訟費用は被告の負担とする。」旨の判決を求め請求原因を「原告は厚生省登録東薬第三一〇号にて許可されたレベン剤並びにブリル剤を応用し結核の治療に特殊の効果を有するNBK療法を実施する権利を得たいと念願している。よつて昭和十五年八月より昭和二十三年六月に至る間厚生大臣、薬事委員会その他の医療関係者に対し右レベン剤とブリル剤の効果性能の審査方を申請したがすべて無視せられて今日に至つている。右薬品及び治療法の効果あることは既に実験により明かであるから原告は右治療法実施の権利を認められ度く本訴請求をなすものである。」と述べた。(立証省略)

被告国指定代理人は原告の請求を却下或は棄却する旨の判決を求め答弁として、「原告の(一)の請求についてはおよそ行政庁に対し特定の処分をなすべきことを命ずるが如きは法律に特別の規定ある場合を除き裁判所の権限に属しないから右原告の請求は不当である。(二)の請求については、訴外加藤宝と訴外篠原実の個人間の契約の効力に関し国は直接何ら原告と利益の対立はないから国を被告としてなした右請求は確認の利益を欠くもので失当である。(三)の請求についてはおよそある行為が法規に違反しないということはそれのみでは何ら権利又は法律関係の存否の主張とはならないのである。従つて右請求も亦確認の利益を欠くもので失当である。」と述べた。(立証省略)

三、理  由

原告の本訴請求は遺憾ながら認容できない。その理由は被告の主張する如く第一の請求については憲法上三権分立の建前から裁判所は行政庁に対し積極的に行政行為を命ずる結果となるような判決をなす権限はないし、第二の請求は個人間の私法上の関係につき国は直接利害関係はないから確認の利益なく又第三の請求は事実の確認を求めるもので権利又は法律関係の存否を求めるものではないから民事訴訟の対象とならない。

よつて原告の請求を理由なしとし民事訴訟法第八十九条を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 谷口茂栄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!